17.1. 生物学と社会 : ホビットの起源
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2003年、インドネシアのフローレス島で発掘調査をしていたオーストラリアの人類学者たちが、ほとんど完全な雌の骨格を含む、きわめて異様な骨を発見した 1万2000年から1万8000年前のものであり、なんとも奇妙な特徴をしていた
大人の骨から計測された身長は1mほどで、脳の大きさは現代人の1/3以下(チンパンジーと同じくらい) 同じような大きさの個体が約12体発見されている
ヒトの中にも、ピグミーなど小柄なものがいることは知られているが、頭と脳がこれほど小さい例はない 発見者たちは、ヒトの祖先の中でも身体も脳も小さな一団が数百万年前にアフリカからフローレス島に到着し、島という隔離された環境の中で、より小型のホモ・フロレスエンシスに進化したのだと推測した
生物学者は島に閉じ込められた結果、小型になったシカ、ゾウ、カバなどを発見している 捕食者がいないと、より小型でエネルギー効率のよい体形に進化しやすいという仮説が提唱されている いくつかの疾患がフローレス島で発見されたのと同様な異常を起こすことは知られている
注意) トチェリ氏が2007年に行った分析では、フローレス原人の手首の骨の構造はホモ・サピエンスの骨との類似点がほとんどなかった。むしろ初期人類やチンパンジーのものに似ていて、ホモ・サピエンスとは異なる種であることが強く示唆されている。